エッセイ
8月に作成した3500の選書リストを読み込んでいく際のマイルールを決めた。 簡単なレビューを書く 書評を書くことがこの選書の目的ではない。ただ、読んだ記録は残しておきたいので簡単なレビューを残そうと思う。レビューは極めて簡潔に、ポイント2点に絞る…
大谷翔平を擁するドジャースがヤンキースとのワールドシリーズを制し、2024年のチャンピオンになった。 クローザーとして登板したウォーカー・ビューラーが最後の一球で相手打者を三振に切ったとき、真っ先に私の脳裏に浮かんだのは、水原一平元通訳の顔だっ…
肌にあたる風にはまだまだ湿り気が残っているが、少しだけ涼しくなったように感じる。不快な気候が和らぐと、心に余裕が生まれ、思考に隙間ができる。すると人は、妄想にふけるようになる。 秋になると、決まって色々と夢想し、あれこれと考えを巡らせるよう…
エアコンの冷房ボタンを押す頻度が減り、代わりに扇風機のスイッチをポンとたたくようになった。 台風の進路予想にざわつきながら、今年もまた秋が来てしまったことに軽く打ちひしがれる。 ここ何年か、特に50歳になってからは、「夏の終わりは一年の終わり…
2024年パリオリンピックが今日(8月11日)終幕となる*1。私はというと、さほど熱狂はしていないが、今回はTverやNHKプラスなど後追いで視聴できるネット番組があるので、興味のある競技の様子をポツポツと見ては楽しんできた。 初めてオリンピックを(テレビ…
対話型鑑賞に興味を抱いたのはここ2年ほどのこと。美術展には自分一人で行くのがほとんどなので、誰かと対話しながら作品を鑑賞することがそもそも成立するのかと、はじめは疑問を抱いていた。 しかし考えてみれば、「三人寄れば文殊の知恵」だから、同じ作…
少し前にAmazon kindleとAudibleの3か月無料キャンペーンに登録してみた。 「無料でたくさん電子書籍が読めるのはありがたい」 「オーディオブックなら、ながら読みができるから読書時間が確保できるぞ」 そんなふうに少なからず期待しつつ利用しはじめたの…
以前宣言したように、いま、「死ぬまでに読みたい本」をリスト化する作業をしている。 薄々感づいてはいたのだが、この「読みたい本をあれこれ見繕う」という行為自体が私にとっては極上の娯楽なのだ。特に、どのような基準で本をリストするかを考えることが…
東京で暮らしていたころに2度(95年、99年)都知事選に投票したのだが、その後は故郷の栃木に戻り、テレビやネットでお祭り騒ぎを外から眺めていた。 今回の都知事選をみていて、「祭りだな」とあらためて思った。 記憶の整理をかねて、都知事選にまつわる断…
本を読むことが好きな人たちは、どうやって「読むべきもの」を選んでいるのだろう。 極度に本が好きな人たちは、なにか明確な物差しがあるわけではなくて、「これだ!」と直感的に手に取った本を読んでいるという人も多いことだろう。 私の場合、体力の有り…
出典:在英国日本国大使館 6月22日〜28日の日程で、天皇皇后両陛下が英国をご訪問されている。 多くの方がご存知のように、天皇陛下は、皇太子徳仁親王殿下時代にオックスフォード大学に留学して研鑽を積まれた。そのときの体験で得た学びや思い出をまとめた…
6月18日、伝説的野球選手であるウィリー・メイズが93歳で亡くなった。「5ツールプレイヤー」と称されたメイズは、12年連続ゴールドグラブ獲得、史上初の300本塁打300盗塁達成など、走攻守すべてにおいて最高レベルの数値と成績を残した万能選手だ。 動物のよ…
noteで記事を読むのが好きだ。 好きなのだけれど、最近noteがちょっとつまらない。 (理由1)有料記事が目障り 一昨年あたりからnoteに「有料記事」が増えてきた。有料記事は、料金を払わないと記事の全文が読めない。特段プロの作家でもない素人さんが、や…
先日、中学の同級生たちとクラス会をした。最後に会ったのがいつだったのか、記憶も定かでなくなるほど久しぶりのことで、中には卒業以来はじめて会う友も少なくなかった。 35年も会わなかったのに、なぜか懐かしさをまるで感じなかったことが不思議だった。…
20年くらい前の冬、ローカル線を使ってのんびり北に向かう旅をした。目的地は北海道。道内を鉄路でひととおり周りながら、北の開拓者たちが残した土地の余韻や名物を味わいたい。そんな無計画な旅だったのだが、どうしても外せないと思っていたのが、作家・…
日本の一部の大学では「ライティングセンター」なるものを設置している。目的は学生の文章作成をサポートすること。なぜ大学がこのような活動をしているかといえば、日本の(公立)学校では日本語の文章作成の基礎を丁寧に教える機会が決定的に不足している…
タイトルはもちろん水原一平元通訳についてだ。通訳として山の頂にのぼり、幸せな半生を享受していたというのに。一番大切な人の財産をギャンブルの負けの支払いにあてたばかりか、賭けでえた勝ち分は自分の懐(口座)に入れていたそうだ。 しかも水原は、大…
栃木県益子町の益子陶芸美術館 で開催中の展覧会、「ジュリアン・ステアと加守田章二」(4月7日まで)を取材した。記事はいつものように美術展ナビに掲載していただいた。 artexhibition.jp 東京から車で2時間ほどというアクセスの良さもあり、益子の知名度…
大谷翔平選手の元通訳、水原一平にまつわる記事が氾濫している。どの記事も執筆のトーンは同じで、「もし」や「たぶん」や「おそらく」ばかり。確たる証拠がまだない状態なので仕方ないとはいえ、よくもまあ憶測であることないこと垂れ流せるものだ……と呆れ…
昨年夏に一時停止した「書く仕事」を師走に再開して2ヶ月。ようやく、やっと、かつての感触を取り戻しつつある。ライターを自称しているにもかかわらず、書いておカネをもらうという営みから離れた数ヶ月。どうやって生きていたかといえば、基本は寝て起き…
齢五十を超えたライターでも、初めて知る言葉はたくさんある。2023年に私が学んだ言葉は「マチズモ」だ。市川沙央の芥川賞受賞作品『ハンチバック』を読んで、私はこのカタカナ言葉に出会った。 市川さんがどのような人であるか、また『ハンチバック』が何を…
相変わらず本はよく買うし、借りている。最近は仕事のペースを遅くしたこともあり、読書の時間がかなり増えた。そんな私が「在庫の検索ができない小さな本屋が好きだ」と気づいたのはここ数年のこと。 少し意外だった。なぜなら、私はアマゾンと図書館のヘビ…
やけにリアルな夢だった。セリフもはっきり聞こえた。夢はあまりみないのだが、なかなか印象的だったので、文章を肉付けし、ひとつの物語に仕立ててブログに書き留めておこうと思う。物語の背景、登場人物の名称や特徴などの細かい描写はもちろん後付だ。 太…
偶然目にしたこの動画に目が釘付けになった。 youtu.be 引きこもっている人を外の世界に連れ出す仕事は現代日本ならではかもしれない。日本が引きこもり大国であることは、「Hikikomori」という言葉が海外の精神医学の講義で専門用語として使われていること…
昨年の12月に、ライタースクール《カケルスクール》をめぐる詐欺事件に関するエントリを書いた。 hatesatetakuo.hatenablog.com 前回の記事から10ヶ月、事件から1年が経過したのを機に、あらためてカケルスクール事件を振り返ってみたい。 *** カケルスク…
こういう記事にときどき出会えることが海外のコラムの面白さだと思う。執筆者は『ザ・ニューヨーカー』のスタッフライターであるルイーザ・トーマス。 www.newyorker.com 内容を知りたい向きは、翻訳アプリを使って文章の雰囲気だけでも感じてみてほしい。Go…
2つ立て続けに残念なニュースが届いた。 「大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が、右肘の靭帯損傷。投手としての今期出場が終了」との一報。先発ピッチャーとしてここまで10勝をあげている大谷選手。打撃は好調で、日本人初のホームラン王も十分狙えるとこ…
大学を卒業してしばらく経ったころ、お盆で帰省した私に亡父が手紙をくれたことがあった。夕飯を食べ終えて食器を片付けようと立ち上がったとき、「ちょっとこれ、読んでみてよ」と唐突に封筒を手渡してきた。父はそれきり何も語らず、便箋を食卓の上に広げ…
足利市立美術館の「顕神の夢 霊性の表現者 超越的なもののおとずれ」は、実に愉快な展覧会だった。8月17日まで開催しているので、近くに出かける人は見逃してはいけない。 会場には不思議な空気が流れていた。神仏画や霊性を描いた作品を中心に展示している…
令和5年度の司法試験が7月12日から16日まで実施された。受験した方は脳と体、そして心もフル駆動し、全身全霊で戦い抜いたことだろう。いまは疲労困憊で何も考えられないだろうが、とにもかくにも「お疲れ様」とねぎらいの言葉を送りたい。 司法試験の論文…