五十路の日々
本日8月15日、栃木県護国神社に参拝した。宇都宮市陽西町、住宅と学校に囲まれた一角である。表参道の木立に入ると、蝉の声が一段大きくなった。 18歳で上京してから54歳の現在に至るまで終戦記念日の参拝を欠かしたことはない。東京で暮らしていたときは靖…
youtu.be 好きなCMがある。1992年放映、サントリー・クレスト12年。バーカウンターに座るショーン・コネリーが、贈られたグラスでウイスキーを静かに口に運ぶ。 このCMが好きな理由は、亡き父の面影である。 父はサントリーのウイスキーをこよなく愛飲してい…
先月、54歳になった。職場で誰かに祝われたわけでもなく、家族からも軽く声をかけられただけで、誕生日らしい儀式はなかった。50を過ぎたあたりから、年齢の節目に意味を見出す癖は自然と薄れた。 ただその晩、ふと、西村賢太のことが頭をよぎった。 私小説…
今年の1月から地元の老人ホームで働き始めた。専業ライターから兼業ライターへ転身したのである。 週4日、朝8時半から夕方5時半まで施設で過ごす日常がスタートし、昨日3か月の試用期間が終わった。施設長から本採用の承諾をいただき、晴れて(と言っていい…
そこにあるのが当たり前すぎて、もはや空気のような存在になっている風景がある。けれど、ある日ふと目を向けると終わりの予兆が静かに確固として刻まれている。 たとえば、街の中心部にある客の気配がまったくしない一軒の布団屋。 地元の人なら誰もが知っ…
佐藤貞夫法律事務所の事務員がひとり、今日退職した。 ただの事務員ではない。私が小学生の頃からこの事務所で働いてきた女性だ。仮にAさんとする。 40年である。亡き父がまだ壮年の弁護士として依頼者と丁々発止やりあっていた時代から、父が病に倒れ、事務…
好きな洋画を一本だけと問われれば、私は迷わず「ゴッドファーザー」を挙げる。あの重厚な家族の悲劇、全編に漂う逃れがたい運命の気配。何度観ても発見があり、必ず同じ場所で鳥肌が立つ。 そして、クラシックの管弦楽曲で最も愛する一曲はと聞かれたなら、…
ある人気女性芸人の東京公演を観に行った。 中学の同級生だった彼女が、眩しいスポットライトの中にいた。 満員の会場は爆笑の渦である。完璧なタイミングで繰り出される「ひねり」、呼吸をするように自然な「こなれた」立ち振る舞い。間違いなく一流の芸だ…
BRUTUSの恒例行事となった「本棚」特集。 brutus.jp BRUTUSだけではなくて、書店に並ぶ雑誌の表紙に「本棚」「書棚」「読書」「本」といった文字を見つけると、ろくに中身を確かめもしないまま手に取りレジへ向かうのが習癖だ。 特集に登場する本棚のデザイ…
回覧板が回ってくる頻度が以前に比べて劇的に減っている。かつては1〜2週間に一度くらいのペースでポストに投函されていたあの見慣れたバインダーが、今年はめっきり姿を見せない。たぶん2〜3ヶ月にいっぺんあるかどうかだろう。 巷のニュースを見渡すと、や…
12月に民生委員4期目に突入した。民生委員の任期は1期につき3年である。3期9年を全うし、いよいよ10年目を迎えることになった。 「石の上にも三年」というが、その石に座り直して早3回。よもや自分がここまで長く続けることになるとは、引き受けた当初は想像…